オルフェウスの窓
『ベルサイユのばら』で有名な池田理代子のもう一つの傑作がこちら。
『ベルばら』はフランス革命で揺れるパリとベルサイユがその舞台でした。
今回の舞台はフランスではなくドイツ・オーストリア・そしてロシア。
時代は少し下って第一次大戦からロシア革命のころ。
でも、主人公が
「女なんだけど男として育てられている」
というところは
『ベルばら』といっしょです。
とりあえず三角関係なのもいっしょ。
そして3人の主人公の名前がとにかく長いのもいっしょです。
男として育てられた美しい少女、
ユリウス・レオンハルト・フォン・アーレンスマイヤ
ユリウスが通う音楽学校の上級生でちょっと裏のありそうな学生、
クラウス・フリードリヒ・ゾンマーシュミット
ユリウスの同級生で天才的なピアノの素質を持つ奨学生、
イザーク・ゴットヒルフ・ヴァイスハイト
でも作品を読んでいくと、不思議と長い名前もすんなり覚えてしまいます。
どこかの予備校の先生が「フランス革命の勉強のため、まず『ベルばら』を読め」と
指導されたことがあるそうですが、
この『オルフェウスの窓』も、ロシア革命の勉強にぴったりかも?
ちょうどいろいろややこしい時代。学生の方、ぜひ。
でも、『オルフェウスの窓』の一番の魅力は、名前の長さも時代背景の複雑さも関係なく
読者をぐいぐい引っ張っていくその展開。
まるで昼ドラのようになにかしら起こります。そして火サスのように死んでいく・・・
『ベルばら』の倍くらいの長編ですが、一気に読んでしまう面白さ。
お休みの前の夜にぜひお勧めです。