武士の悲哀を描いた傑作時代小説!「一命」

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今週のオススメ本は、宿命に立ち向かう男たちを描いた時代小説家の傑作「一命」です ヽ(・ω・。ヽ)


著者:滝口康彦 価格:500円(税込)

<収録作品>
「異聞浪人記」「貞女の櫛」「謀殺」「上意討ち心得」「高柳父子」「拝領妻始末」

<あらすじ> (異聞浪人記)
寛永7年5月13日。津雲半四郎と名乗る浪人が井伊家の屋敷を訪ねてきた。
彼は井伊家の家老である斎藤勘解由に、仕官先もままならないため武士らしく死にたいと、屋敷の庭先
での切腹を申し出る。

しかし江戸では、生活に困った浪人たちが体面を気にする大名などから金品をゆするための「狂言
切腹」
が頻発していた。
半四郎もそんな浪人の1人だろうと思った斎藤は、数ヶ月前に「狂言切腹」にやってきた千々岩求女
いう若い浪人の無惨な話を聞かせるが・・・。

 

並ぶ者のない時代小説家として知られる滝口康彦の短編集です。
収録されている6編すべてが時代小説なのですが、どれも今の世の中にも通じるテーマを取り扱って
いるので心に残ります。
また時代小説といっても文章が堅苦しくなく、とても読みやすいです。

あらすじでも紹介した「異聞浪人記」は、1962年に「切腹」として、そして今年には「一命」として
映画化され、
そのどちらもがカンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された作品です。
今年映画化された「一命」は先日15日に公開されたばかりで、悲劇の浪人・求女を瑛太が、井伊
家を訪ねた半四郎を市川海老蔵
が演じます。
少々目を覆いたくなるシーンもあるので、苦手な方はご注意を (´д`ι)

数十ページの短編とは思えない読み応えのある作品ばかりが収められた「一命」。
ぜひ手にとってみて下さい。